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説明
宝塚教会の聖堂は、村野藤吾氏が、当時の田口芳五郎大司教をはじめ、初代の主任司祭や信者たちの熱い思いを重く受け止め、“神の家”にふさわしいようにと設計し、1965年に建築されました。
中に入ると、板張りの天井が波打っているのに驚かされる。厚さ5mm、幅50mmのラワン材を音響効果を考えて曲面に張ったもので、同じく村野が設計した傑作〈日生劇場〉のうねる天井を連想させる。
鯨の姿を思わせる建築には理由があった。旧約聖書の一つである『ヨナ書』に、海に投げ出された預言者ヨナが大魚に呑み込まれ、その腹の中で3日3晩悔い改め地上に戻されたという話がある。晩年にカトリックの洗礼を受け、聖書にも造詣が深かった村野はこの話を知っていただろう。祈りを捧げる内部空間は鯨の腹の中であり、だからこそ天井が有機的な曲面なのだとも言える。
「建物が地面に建っているというより、『はえ』ているようにしたいと思った。」
ーー村野藤吾